夜市
恒川 光太郎
角川書店 2005・10
レンは語り始めた。君の言う通り、俺は古い道から出られない。古道のものを身につけているからじゃない。死者でもない。そういう体なんだ。俺はここで生まれたんだ。
短編で二作収録されているのだが、『風の古道』が面白かったので、そちらのお話。友だちと二人で古道という異世界に入り込んでしまった主人公。元の世界に戻ろうとするうちに、レンという青年と出会う。
神、鬼が通る古道、地図がてら皆が旅手帳をつけて歩くという世界観の面白さ。古くからの日本の奇がつまっていると思う。友達のカズキが死んでしまって、でも蘇生しなかった。そこがまた、塗り返せない過去で、リアリティである。面白かった。

