人間テーマ

2008年2月12日 (火)

ひつじが丘

三浦綾子    主婦の友社   1966.12.10

 しかし、ことここに至っては何も言うまい。愛するとは、相手を生かすことであり、またゆるすということであることを、今改めて言っておく。いかなることがあっても、わたしたちはお前を捨てない。自分から出て行った家には戻りにくかろうが、別に勘当されたわけではない。いつでも遊びに帰っておいで。

 抜き出し文は主人公の両親からの手紙。主人公の奈緒実は、一時の見誤りから女遊びのキツイ男と結婚してしまい、そのことで悩む。そこに高校時代の教師との三角関係も絡んでいく。この奈緒実の両親はキリスト教信者なのだが、こういう風な手紙が書けることがすごい。奈緒実の身になってつい涙ぐんでしまった。

 本作のテーマはゆるすということだろう。人間はいったいどれくらいゆるすことができるのだろう。どんなひどいことをされても「ゆるす」ことができる人を尊敬する。自分には無理だ。どうしても自分大事に思ってしまう。年をとれば、「ゆるす」精神をもつことができるのだろうか。

2007年7月29日 (日)

父と子

水上勉 作

朝日新聞社文庫 1983

「坊さまって、おら、欲のある人はきらいだけど、お住持さんのように欲がなぐて、人を恋しがって天真爛漫に、字ばっかり書いてなる人は好きだべ」  

 息子とともに兄弟を一人ひとり訪ねて回って自分のルーツを改めて考える、という進め方。「ヤキバ」に生まれた主人公竹一。「ヤキバ」とは、確かにすさまじい職業だ。竹一の父が決して牛肉を食べず、しかし子どもに卑屈な思いをさせぬよう、おもちゃを作ってやったという生き様には心打たれた。

 昭和の香り。泥臭くて、力強くて。「ヤキバ」だからではない。その当時の誰もがまだ微かに残る階層やしがらみの中で生きていたのだと思う。抜け出したくて、もがいていた。私は昭和という時代(戦後ともいうかな)が好きだ。


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読んだ本

  • 上橋菜穂子: 虚空の旅人 (★★★★★)
  • 梁 石日: 雷鳴 (★★★)
  • 重松 清: リビング (★★★)
  • 三浦 綾子: 草のうた (★★★)
  • 山本 文緒: パイナップルの彼方 (★★★)
  • さだ まさし: 精霊流し (★★★★)
  • さだ まさし: 解夏 (★★★★★)
  • シーラという子: トリィ・L・ヘイデン (★★★★)
  • 重松 清: ビタミンF (★★★)
  • ジズー・コーダー: ライオンボーイⅡ 奇跡の翼 (★★★★)