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2007年8月23日 (木)

人間の条件

五味川 純平 作

三一書房  1973.7

  砲撃がいかに凄絶であるかということは知っていなければならなかった。これは惨烈というのではなかった。それはただ驚愕であった。このように端的な死と絶望が、そおn叫喚と乱舞が、突如として、しかも冷静な機会の反復作用によって、人間の上に吹き荒ぶということが!

 ヒューマニストの主人公、梶が朝鮮の捕虜を収容した施設でどのように生きるのかを描いた作品。正直、この作品はいろいろなことを考えさせてくれる。読んで欲しい一冊だ。

 私が戦時中に生まれていたら、梶のようであったのではないか。人を人として扱うことは、一緒であったと思う。作中、密林付近の村へ食料をもらいに行く場面がある。彼らは騙されてしまう。「いい日本人もいる」という理屈は通用しないのだ、日本人がその村へ侵攻した時点で。他者の見方はすべて日本人を憎む見方になってしまうのだ。結局信じられるものなどないのか。戦争を作り出すとは恐ろしく、あってはならないことだ。けれど人間が非道になってしまうのはなぜか。倫理という観念が欠如してしまうのはなぜか。人間の心の中にこれが眠っているのかと思うと、怖く、そして哀しい。

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